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第40回 「完ぺきを求めた先に見えたもの」
2010年8月27日更新

「完ぺきなゴルフ」って考えたことありますか?

ドライバーで毎回フェアウエーに飛ばして、アイアンで毎ホールのようにバーディーチャンスにつけて、パットもきっちり入れる。誰もが夢見るようなプレーだけど、プロゴルファーでもできないこと。不可能に近いことを求めれば、心もしんどくなるし、スイングも窮屈になってくる。そんな悪循環に悩んでいたのが、矢野東だった。

「汚いゴルフをしたくなかったんですよ。イメージ通りに球を飛ばして、バーディーを取っていこうとする意識が強すぎたんです。かっこいいゴルフをしようとし過ぎていた。納得できない球が1発出ちゃうと嫌だった」。

08年には10試合連続トップ10の偉業を成し遂げ、賞金ランク2位に入った。09年も全米オープンンで第2ラウンドを終えて4位と健闘(最終27位)。世界のトップさえ見え始めた今季は、並々ならぬ思いで臨んでいた。オフは食事管理とトレーニングを積み体脂肪率は4%減の9%に。体重も4キロ減らし、08年当時と同じ71キロと体を磨き上げた。「例年になく体の調子はいい。今年は開幕ダッシュを目標にやってる」。4月には、そんな自信の言葉も残していたのに、始まってみると結果が出ない。「これだけ練習もして、トレーニングもして、努力もしてるのに何で曲がるの? って思っちゃって。自信をなくしてたんです」。7月レクサス選手権まで、9試合で7度も予選落ちする屈辱を味わった。

そこで、ようやく気づいた。「うまくいかないのがゴルフ。完ぺきを求めないようにしよう」。心の中のにゆとりが生まれ、スイングにも窮屈さが取れたのか、そこから成績は急上昇。セガサミー杯で9位に入ると、先週の関西オープンでは今季最高の2位。フェアウエーに行かなくても気を落とさず、アイアンでグリーンを外しても、粘り強くパーを拾って、チャンスを待つ。汚くも何ともない、それもゴルフ。いいスイングで真っ直ぐ飛ばすだけじゃなく、曲がりまくってリカバリーすることもゴルフの楽しさのひとつなのだ。

「まだまだ全快には程遠いです。でも、ゲームメーキングをしっかりやれれば、きっと優勝できる」。08年の連続トップ10記録は、VanaH杯KBCオーガスタが起点だった。勝負の秋へ、ゴルフ界きってのハンサム男の逆襲が始まりそうな気配だ。

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著者プロフィール

木村有三(きむら・ゆうぞう)
1974年12月28日、大阪市生まれ。同大ゴルフ部時代は、関西学生ゴルフ連盟競技委員長を務める。98年日刊スポーツ新聞社入社。02年プロ野球・オリックス担当。99~01年、03年から現在まではゴルフ担当。海外メジャーは、今年マスターズまで男女合わせて17大会を取材。
趣味は競馬、競輪。
≫ニッカンスポーツ・コム

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