
今年も、何人ものプロゴルファーの涙に心を奪われた。エビアンマスターズで米女子ツアー初優勝した宮里藍の万感の涙、女子最終戦ツアー選手権リコー杯で劇的な逆転勝ちで賞金女王の座についた横峯さくらの歓喜の涙、そして逆転された諸見里しのぶの悔し涙…。
石川遼の最年少賞金王が決定した男子最終戦日本シリーズJT杯でも、思わぬ男が泣いた。丸山茂樹だ。「表彰式で泣くのは初めてです」と、照れ笑いを浮かべながら、後ろを向いて涙をぬぐうシーンをテレビで見て、さまざまなことが脳裏に浮かんできた。
00年から参戦した米ツアーからの撤退を考えはじめたのは昨年春ごろ。そのころの丸山は、自信を喪失していた。「悪いのはドライバーと、締めのパター。コースに対しての前向きな気持ちが足りない。ブルペンエースのピッチャーみたい。本番になると、スイングが小さくなってしまう」「強い気持ちを持って、そのホールに向かっていけるか。足りないのはメンタル」「池があれば、気になってしまうし。池に打たないように、右にまっすぐとか考えてしまう。何も考えずに、狙うところだけを考えればいいのだけれど。視界に入れなくてもいいところを、視界に入れてしまうのがいけないところ」。「今までと違って、自信落っこちて日本に帰ってきてるので、うまくいくのか、すごい不安ですよ」…。すっかりボヤキ、いや〝嘆きのマル〟だった。
今年の開幕戦から日本ツアーに復帰したが、思うようにいかなかった。石川遼と初めて予選同組となった6月ミズノよみうり、9月フジサンケイでは、ともに石川が優勝。3度目の同組対決が決まったパナソニックオープン開幕前には、「丸ちゃんスマイル」はすっかり影を潜め「2度回って負けている遼と、また同じ組だって書くんだろ。どうせ、その程度だろ」と、取り囲む報道陣にもいら立ちを隠せなかった。
復調のきっかけをつかんだのは、11月レクサス選手権だ。3位に入り「やっぱり僕はうまい」と、持ち前の笑顔とともに自信がよみがえった。5年間、悩み続けた〝ドライバーイップス〟も快方へと向かい、最終戦前のカシオワールドで日本シリーズ出場切符を奪取。そして今季の最後の最後で、見事な復活を遂げたのだ。
18歳の賞金王に、ゴルフ界のすべてを背負わすわけにはいかない。「来年は遼くんともやれそうな気がする。若手の見本になって、ツアーを盛り上げていきたい」。10年ぶりに挙げた日本での勝利に、40歳の目は生き生きと輝いていた。ボヤいても、嘆いても、怒っても憎めない丸山だが、やっぱり笑顔が一番よく似合う。日本のゴルフ界に、この男の存在は、まだまだ欠かせない。
2010年
2009年
