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第22回 「成長力の源」
2009年12月28日更新

今年、最も飛躍したプロを選ぶとすれば、僕は諸見里しのぶを指名したい。最終戦のLPGAツアー選手権リコー杯こそ2位に敗れ、賞金女王の座を最後で横峯に奪われたが、今季の女子ツアーは諸見里を中心に回っていたと思う。そんな彼女の活躍をねぎらう「諸見里しのぶプロを囲む会」が21日、神戸で行われた。

関係者約150人が詰めかけた中であいさつした諸見里が、何度も口にしたのは「今年はゴルフをするのが楽しかった」という言葉だ。昨年までの彼女には、優勝争いになると、どこか悲壮感が漂っていた。07年に日本女子オープンに勝ったときも、最後まで余裕なさそうに顔を引きつらせていた。それが、今年は優勝争いでも笑みを浮かべることが多くなった。「ゴルフを楽しもう」という思いが、そのままプレー時の表情に出ていた気がする。

沖縄県名護市生まれ。タクシー運転手の父と、スナックを営む母。決して裕福な家庭で育ったわけではなかった。地元の中学を卒業すると、おかやま山陽高に特待生として〝ゴルフ留学〟したのも、六畳一間の狭い家を、両親が少しでも広く使えるように…という思いがあったから。昨年まではそういう優しく、きまじめな性格が、優勝争いでの過度の緊張につながっていたのかもしれない。

そんな諸見里の、今年の大きな変化は「読書」。親交があった片山晋呉の著書を始め、武田信玄ら歴史に名を残した人物の本を、時間を見つけては読んだ。大量虐殺の中で生き残った女性の手記「生かされて」にも感動し、心を揺さぶられた。試合会場への移動中も、携帯ゲームする時間を減らして、読書した。「本で読んだ人の苦労に比べると、私なんかまだまだ」。心からそう思えたからこそ、震えるような優勝争いの緊張感も、楽しめるようになったのだろう。

「囲む会」の最後で、諸見里は笑顔で誓った。「来年は、もっと成長した諸見里を見せれるように頑張ります!」。賞金女王を逃したショックなど感じさせない、力強い声だった。

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著者プロフィール

木村有三(きむら・ゆうぞう)
1974年12月28日、大阪市生まれ。同大ゴルフ部時代は、関西学生ゴルフ連盟競技委員長を務める。98年日刊スポーツ新聞社入社。02年プロ野球・オリックス担当。99~01年、03年から現在まではゴルフ担当。海外メジャーは、今年マスターズまで男女合わせて17大会を取材。
趣味は競馬、競輪。
≫ニッカンスポーツ・コム

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