タイのベテラン、42歳のプラヤド・マークセンがイーブンパー71、通算8アンダーのスコアを守り切り逃げ切りで大会初優勝を飾った。2打差の首位でスタートしたマークセンはアウトを33、通算11アンダーまでスコアを伸ばし2位に5打の大差をつけた。インではダブルボギーをたたくなど苦戦したが、1打差で逃げ切り優勝賞金4000万円を獲得した。今季3勝目で日本ツアーで片山晋呉と並ぶ最多勝利数タイ。
石川遼は68で追い上げ、2位に食い込んだ。4打差3位スタートの石川は5バーディー、2ボギーと追い上げ一時1打差まで追い上げたが、及ばず、ツアー3勝目にわずかに及ばなかった。
3位には丸山茂樹、藤田寛之、G・カスタノ(スペイン)。5アンダー5位には富田雅哉が入った。
2連覇を狙ったイアン・ポールター(イングランド)は69、通算3アンダーの8位、アーニー・エルス(南ア)は1アンダー15位。片山晋呉は4オーバー35位に終わった。
マークセン、何ってことするんだ、と叫びたくなる強さ、うまさだった。石川は追っても、追っても、追いつかなかった、背中は見えた。が、さわることはついにできなかった。
タイのエース、今年のマスターズに出場したアジアのトッププレーヤーは微動だにしなかった。6番パー3で1mにつけるバーディーで9アンダー、7番では10mのロングパットをほうりこみ、タフな9番パー4でも6mをねじ込むバーディーで一気に11アンダーとスコアを伸ばした。
4打差スタートの石川は3番、4番とバーディー、6番をボギーとしたのが痛く、それでも9番で5mを入れ、カップを右人差し指で突き刺すようなポーズでガッツを見せた。しかし、順位を2位へとあげることは出来たものの、その差は5ストロークと開いた。
結局、この大差が勝敗を分けることになった。
ただし、それはトーナメント自体のおもしろさを減失させることにはつながらなかった。ダンロップフェニックス35回の歴史、世界からはせ参じた選手たちの顔ぶれ、トーナメントのおもしろさを追求したこだわりは、その直後からゴルファーを興奮のるつぼへと引き込むのである。
11番、165ヤードのパー3である。
石川と同じ組のスネデカーがグリーン奥に打ち込むと2打目をショートし3オンの2パットのダブルボギー。今年のマスターズ3位のトップ選手に、パーで上がった石川もギャラリーも声もなし。わずか165ヤードの、"ショート・ショート・ホール"(短いショートホール)の罠に誰もが、改めてゴルフの怖さにおびえるのだった。そして、その溜息が消えない直後、最終組のマークセンが再び罠におちるに及んでもう誰も押し黙ってしまった。
マークセンは7アイアンで奥にこぼしアプローチも強く、グリーンを下り花道に逆戻り、3オン2パットでダブルボギーだった。ショックをうけたか、マークセンは続く12番ティーショットを左林でボギー、スタート時の8アンダーへ戻った。
すると13番、待っていたかのように石川のバーディーが飛び出しトーナメントは混戦へと筋書きを変えていった。
13番、ここでも「ショ ― ト」の3文字が絡んでくる。
13番332ヤードの"ショート・パー4"、石川はドライバーをグリーン左手前のバンカーまで運ぶと4mに寄せバーディーとした。7アンダー。その瞬間、マークセンとは1打差となった。背中が見えた瞬間でもあった。
今大会、コースは様々な改造を加えた。7番パー4を5へ戻し12番などを約20ヤード距離を伸ばした。そうした中、11番パー3と13番パー4は短さで勝負をかけ、面白さを演出していた。ゴルフは長いゆえにむずかしいのではない。最終日のプレッシャー、優勝の行方、女神の微笑みが見えてからが難しい。目の前にピンフラッグが見え、目標が近付くと欲が出る。
11番マークセンは欲で自滅し13番石川は欲を意欲に変えた。いずれにせよトーナメントはおもしろさを増した。
「ドラーバーショットで安定したショットができなかった」石川の今季2勝目はならなかった。勝てば賞金ランク3位。夢のマスターズもみえるところだったが、日本オープンに次ぐ2位、賞金ランクも5位どまり。優勝を意識しながらの"敗戦"にがっかりだ。15番で1mのパットを外すボギーにしたのが直接の敗因。しかし、「安定感のないドライバーがすべて。右への体重移動がうまくできなかった。そのためダウンスイングの通り道に体もクラブも乗りきれていなかった」反省が口をついた。
「マスターズにライネン、デタイデスカ?」
"4月のマスターズに出場したいですか"―外国人プレスの日本語の質問にはっと頬をあからめ意を決したように「はい。出たいです」といったのは公式記者会見。少しでもいいスイングを積み上げれば、成績もついてくる、マスターズ出場もみえてくる、と頑張った、その心のうちを初めて明かした瞬間だった。
だからマークセンやってくれたな、よくぞ邪魔してくれたな、と叫ぶのである。いや荒っぽい、祝福と受け取ってもらわないとこまるが…。
石川が16歳で優勝した、昨年のマンシングウエアKSBカップ。その今年のチャンピオンは42歳のマークセンだった。今大会、17歳の少年・石川と42歳、タイが生んだ壮年・マークセンの熾烈な戦いはキーワードにマスターズが介在した、皮肉な運命のぶつかりあい。歴史に残るいいトーナメントだった。(武藤一彦)
【ツアーお楽しみトピックス】 |
石川遼
(c)GolfPark 2008 |
主催: | 住友ゴム工業、フェニックス・シーガイア・リゾート、毎日放送 |
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主管: | 日本ゴルフツアー機構 |
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開催日時: | 2008年11月16日(日)~23日(日)
20日(木) | 予選ラウンド1日目 | 21日(金) | 予選ラウンド2日目 | 22日(土) | 決勝ラウンド1日目 | 23日(日) | 決勝ラウンド2日目 |
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開催コース: | フェニックスカントリークラブ
宮崎県宮崎市塩路浜山3083
TEL 0985-39-1301
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賞金総額: | 200,000,000円 |
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優勝賞金: | 40,000,000円 |
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アクセス: | JR宮崎駅より直行の無料シャトルバスをご利用ください。
お車でお越しの方はギャラリー用臨時駐車場をご利用ください。
駐車場からは送迎バスをご利用ください。 |
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TV放映: | MBS発JNN24局ネット
11月22日(土)14:00~15:54
11月23日(日)15:00~16:54 |
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お問い合わせ:
| 大会事務局 TEL 0985-37-9000(平日9:00~17:00) |
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公式サイト: | http://dpt.gr.jp/ |
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